都心部の街中や観光地等で見かけるようになった電動キックボード。便利な乗り物である一方、交通ルールを遵守しなければ交通違反で警察に捕まってしまう可能性もあります。今回は、電動キックボードの逮捕事例について紹介していきます。
電動キックボードとは
電動キックボードは電動モーターのついたキックボードで、モーターの力のみで、進み、移動することができます。近年はおしゃれで、かっこよく、また、価格もりーうなぶるな製品も増えているので、若者を中心に人気が出始めています。
電動キックボードについてのテレビやネットで取り上げられているのを見て、乗ってみたい、買ってみたいと考えている方も増えつつあるのではないでしょうか。
また、法律が改正されて、電動キックボードの扱いが変更されることが予定されています。
公道で走行するための条件・利用方法
公道で走行するためには、利用者側のルールと電動キックボードが基準を満たしている必要があります。現在の法律では、電動キックボードは原付バイクと同様の扱いがされています。
主な条件5つ
・原付免許を保有していること
・保安部品の取付け
・ナンバープレート取付け、自賠責保険の加入
・ヘルメット着用
・交通ルールを守る
①原付免許を取得・保有する
原付の運転免許や普通自動車運転免許の取得することが必要です。また、有効期限が切れていないことも確認が必要です。
②保安部品の取付け
必要な保安基準は、ナンバープレート、方向指示器、速度計、前照灯、警音器、サイドミラー等を装備する必要があります。これらは購入時点で取り付けられていないことがあります。特にインターネットでの購入時は注意が必要です。公道で走行する前に、自分で取り付ける必要が出てきます。
③ナンバープレート取付け、自賠責保険の加入
ナンバープレートの取得は役所での手続きが必要になります。
手続きに必要なものは、販売証明書、身分証明書です。各自治体のホームページに様式がありますので、確認をお勧めします。住民票のある市区町村の役所にて申請をします。手続きをすると、ナンバープレートと標識交付証明書がもらえます。ナンバープレートは電動キックボードに取り付けます。
インターネットでの購入の場合には、販売店に販売証明書が発行できるか確認してから、購入することがベストです。購入後、発行できない場合は、公道走行ができない商品かもしれません。
登録した電動キックボードを廃車手続をせず、翌年の4月1日時点で所有していると、1年分の軽自動車税の納付書が届きます。
自賠責保険の加入が条件となります。当然、軽自動車税の支払いも義務となります。コンビニでも加入することができますので、比較的手軽に加入できます。また、販売店でも加入できる場合があります。
④ヘルメット着用
原付バイクと扱いは同じですので、ヘルメットをつけなければなりません。
利用前にヘルメットを購入しておきましょう。
⑤交通ルールを守る
原付の扱いですので、歩道や自転車道を走行することはできません。走行は道路上のみになります。もちろん、一方通行の逆走は違反となります。
例外
例外として、認可を受けたシェアリング事業者の電動キックボードであれば、ヘルメットの装着不要でなおかつ、道路に加えて自転車道を走行することができます。保安装置やナンバーの取付けがなされていますので、個人所有と異なり手間が軽減されます。認可を受けた事業者とは、具体的に、LUUP(ループ)、EXx、mobby ride、長谷川工業、SWALLOWがあります。
交通違反と罰則規定
無免許運転の場合
自動車運転死傷処罰法違反となります。3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
人に怪我や死なせてしまった場合
必要な注意を行って事故を起こした場合に自動車運転過失致死傷罪が適用される可能性があります。7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科されます。
赤信号無視や道路逆走の場合
危険運転致死傷罪が適用される可能性があります。「人を負傷させた者は十五年以下の懲役」、「人を死亡させた者は一年以上の有期懲役」という厳しい規定があります。
無免許で信号無視、逆走、人身事故が重複して起こした場合
多重で違反を犯してしまうと、刑罰がより重くなります。起こしてしまった事故の状況によって刑罰が判断されることになります。また、事故を起こしたにもかかわらず、被害者を救護しなかったり、警察に報告しなかったりすると、「ひき逃げ」と判断され、より重い刑罰になる可能性があります。
逮捕事例
交通ルールを守らず、交通違反の状態であれば、警察に捕まってしまう可能性があります。東京都を管轄する警視庁交通部は人身事故ではない電動キックボードの交通違反取扱件数は2021年中で207件と公表しています。
そのうち55件はシェアリングサービスの電動キックボードで、152件は個人所有者でした。摘発の件数は年々増加傾向にあります。
では、どのような場合に捕まるのか、具体的に見ていきます。
事例1
2021年5月、大阪で電動キックボードに乗った男性が、女性と衝突し、住所を負わせる交通事故が発生。男性は衝突した後、その場を去ってしまうという「ひき逃げ」事件でした。のちに、警察に逮捕されました。
事例2
2021年6月2日19時10分頃、東京都新宿区歌舞伎町付近(新宿区新宿3丁目23番地先)のJRの新宿大ガード東交差点を電動キックボードに乗った女性が無免許運転。女性は飲食店勤務、新宿区在住の23歳。赤信号を無視して直進し、青信号で交差点に進入していたタクシーに衝突。2021年8月26日以下の容疑で送検されました。
・自動車運転死傷処罰法違反(無免許運転のため)
・自動車損害賠償保障法違反(自賠責保険の無加入による)
・道路交通法違反(保安基準を満たしていないため)
自動車運転死傷処罰法違反を電動キックボードで同法が適用されたのは全国初という情報もあります。
逮捕されないために
インターネット等で、電動キックボードを購入すると、ナンバープレートの申請や取付を、多くの場合は自らが行う必要があります。手間がかかることではありますが、行う必要があります。
電動キックボードに必要な交通ルール
・原付を運転可能な免許証を携帯する
・車道を走行する
・逆走や歩道を走行しない
・ヘルメットを着用する
・最高速度30km/h以上出さない
・必要に応じて、電源を切って歩道を押して歩く
法改正の予定あり
2022年4月に電動キックボードについて道路交通法が一部改正されました。改正後、条文が施行されれば、「原動機付自転車(原付)」ではなく「特定小型原動機付自転車」という扱いに変更されることとなります。変更点は下記のとおりです。
- 免許不要
- 最高速度20km/h以下で制御され、長さ190cm×幅60cm以内の車体
- 16歳以上で利用可能
- ヘルメット着用不要
- 時速6キロ以下であれば歩道走行可能
おわりに
電動キックボードは普及し始めている段階なので、逮捕の事例は少ないですが、利用者がさらに増え、違反者が増えると、警察の取り締まりは一層厳しくなることは予想できます。交通違反で捕まってしまうリスクは今後ますます高くなる可能性がありますので、交通ルールを守って利用することをお勧めします。