航空会社には大きく分けて、JALやANAなどのフルサービスキャリア(FSC)とピーチやジェットスターなどのローコストキャリア(LCC)の2種類があります。
FSCとLCCの違いについて、今回は解説していきます。お財布事情など、それぞれのご事情に合わせて、どっちが向いているのか検討してみてください。
国内のLCCとFSCの航空会社
LCC
LCCはローコストキャリア、格安航空のことです。国内では、ピーチ、ジェットスター、バニラエアなどがあります。様々な箇所でコストが削減されており、安価で航空チケットが出に入ります。
FSC
FSCはフルサービスキャリア、従来からある航空会社の形態です。国内では、ANAやJALがあります。ドリンクサービスや座席モニター、Wi-Fi設備など、サービスが十分にそろっています。
LCCが安価な理由
ここでは、LCCがFSCに比べて安い理由について解説していきます。LCCのチケットはFSCの半額以下でチケットを購入できることも珍しくはありません。なぜそこまで安いのでしょうか。
1機当たりの座席数が多い(座席が狭い)
LCCは1機当たりの座席数が多いです。FSCと同じ機種の飛行機で、座席数が多くなりますので、必然的に1人当たりの座席は狭くなります。体の大きい方には、つらいフライトになってしまうかもしれません。
サービスに追加料金が必要
ドリンクサービスや、機内食などが追加料金になることや、座席モニターが付いていない(ことが多い)点で、LCCはサービスが簡素化されています。
同じ機材で運用
LCCは、同じ機種の機材のみで運用することでコスト削減を図っています。同じ機種で運用することで、整備にかかる部品交換等の費用を完全共有化することができるため、削減された費用をチケット代に還元することができます。A320がよく使われています。
機材を高回転で運用
LCCの場合は、保有している機材を可能な限り運用するようにしています。また、到着後すぐに、別の目的地に飛び立つほど、駐機時間が短めに設定されています。これにより、1機の飛行機で可能な限り人を運び収益を生み出しているといえます。
デメリットとしては、予備機材がないことが原因で、遅延や欠航が発生しやすいということが挙げられます。
LCCとFSCの違い
LCCは航空券が安い
LCCの1番の特徴は航空券の運賃が安いということです。購入のタイミングや、セールなどによって、価格差が殆ど無い場合もありますが、たいていの場合は、LCCはFSCと比較して30%〜50%ほど航空券代が安いです。
ただし、当日の乗りたい便の時間帯や、時期、区間などにより、料金差は変わりますので、チケット比較サイトでの検討をおすすめします。
LCCは座席が狭い
FSCに比較して、LCCは座席が狭いです。座席の幅を狭くすることによって、より多くの座席を配置して、乗客を運びます。LCCはエコノミークラスのFSCと比較して、最低でも3〜5cm程度は座席が狭くなります。
LCC は預け入れ手荷物が有料
LCC は手荷物の預け入れ手荷物は有料です。JALやANAでは無料(チケット代に含まれている)のところ、LCCでは有料になります。
預け入れ手荷物があることが、事前にわかっている場合は、事前に料金を支払っておくことをおすすめします。事前支払いをすることによって、当日空港で支払いをするのに比較して、3〜4割安くなります。
たとえば、ピーチの場合、航空券購入時に支払いをする場合は、1,950円となっています。航空券購入後の追加は2,450円となっています。対して、空港での申込みは、3,050円と一気に跳ね上がります。
1個あたりの手荷物ですので、複数個以上の預け入れが必要な場合は、更に追加が必要です。また、重量によっても変動しますので注意が必要です。
LCCは機内持ち込み荷物が厳しい
FSCでは大抵の場合、機内に持ち込みすることのできる荷物は、10キロまでとしていることが多いです。対して、LCCでは、多くの場合、持ち込み手荷物は1人あたり合計7キロまでとなっています。
FSCより3キロ荷物を制限されることになります。
スーツケースなど、カバン自体の重量が大きい場合は、すぐに7キロを超えてしまいますので、注意が必要です。
LCCは機内サービスが少ない・有料
ドリンク・機内食
FSCでは、どんなに短い路線であっても、基本的にはドリンクのサービスはあります。国際線においては、機内食のサービスがあります。これらの料金はチケット代に含まれており、乗客は追加の料金を支払う必要はありません。
対して、LCCでは当然のことながら、ほとんどすべてのサービスが有料になります。
一例として、ピーチの機内食をご紹介します。ドリンク類は200円〜500円、カップラーメンは400円という値段で購入できます。
機内エンタメ・座席モニター
FSCでは、暇つぶしに座席モニターで機内エンタメを楽しむことができる機材が多くあります。映画やドラマ、音楽を楽しむことができたり、フライトマップを見ることができたりと楽しみ方は人それぞれです。
LCCには基本的にモニターは設置されておらず、機内誌などもありません。時間をつぶすためには、事前にスマホやタブレットを準備して搭乗するなどの準備が必要になります。
備品・アメニティの貸出
ブランケット・毛布・スリッパなどの備品・アメニティ関連の貸出、配布等は基本的に行っておりませんので、必要な場合は持参する必要があります。
機内で購入できる場合もありますが、有料かつ高価なため、お薦めはできません。
LCCは座席指定が有料
LCCは国内線・国際線問わず、座席を指定するのに基本的には料金がかかります。
到着時に早めの降機ができる前方座席や、比較的足元の広い最前方座席や、非常口付近座席などは、特に料金が高く設定されています。座席幅が狭く、窮屈な印象のあるLCCですので、少しでも広い座席は、その分価値が高くなります。
LCCはラウンジがない
FSC系の航空会社の場合は、航空会社ラウンジが設置されています。一定クラス以上の座席の搭乗者や、上級会員の利用に限定されますが、登場前までに食事やドリンクを楽しめたりと、休息をとることができます。
LCCは、基本的に航空会社ラウンジは存在しません。
ただし、クレジットカードラウンジや、プライオリティ・パスのラウンジは利用可能です。
LCCは搭乗口が遠い
LCCは保安検査場を抜けてから、飛行機の駐機する搭乗口まで、距離が遠いことが多いです。場合によっては歩いて10分以上かかることもあり、余裕を持った早めの行動が重要になっています。
すべての場合においてFSC搭乗口が近いとまでは言えませんが、傾向としては、FSCが近くて便利な場所、LCCは遠くて不便な場所に搭乗口があります。場合によっては、飛行機までバスで移動したりすることも珍しくはありません。
LCCは遅延や欠航の際に補償してもらえないことがある
遅延や欠航には2種類あり、航空会社の過失理由による欠航と、不可抗力による欠航があります。
航空会社の事由により、搭乗する予定だった飛行機に遅延や欠航が発生した場合には、FSCでは宿泊代や交通費、飲食費などを請求できることがあります。
LCCでは、空港内で利用可能なクーポン券が渡されるだけであったり、何も補償がないことがあったりと、十分な補償がないことがあります。また、航空便の振替手続きも、自身で行う必要があり、チェックイン窓口などで、丁寧な対応は期待できません。あわせて、問い合わせ先に中々繋がらなかったり、サービスを断られてしまうこともあります。
台風や災害などの不可抗力による欠航であっても、変更やキャンセルの手続き各種条件、注意事項があるため、確認が必要になります。
なにか通常時以外の事態となったときには、自分で対処する必要が出てきてしまう点も、デメリットです。
LCCは遅延する可能性が高い
LCCは効率的に機材をフル活用するために、飛行機が到着してすぐに、次の行先に出発するように、スケジュールがFSCよりもタイトに設定されています。
フライト回数を増やすことによって、経営の効率化をしています。
空港に駐機する時間が短い分、前の出発先で遅延が発生してしまうと、次の行先にも影響してしまいかねません。必ずしもFSCの方が遅延しづらいということではありませんが、LCCの仕組み的に遅延が発生しやすいということを考慮する必要があるでしょう。
LCCはキャンセル規定が厳しい
LCCはキャンセル規定が厳しく設定されています。特に、最安値のチケットを購入してしまうと、購入時点からキャンセルができない(100%キャンセル料)のことが多いです。急な予定の変更には向いていません。
キャンセルや変更が可能なチケットもありますが、その分値段が上がりますので、LCCの安さというメリットを活かしきれません。
LCCをお勧めできる人・お勧めできない人
LCCをお勧めできる人
LCCの特徴からお勧めできる人は、航空券代を最重視して、旅費を少しでも節約したいと考えている方です。旅行や出張の回数が多い方ほどメリットがあります。
座席が少し狭かったとしても、気にならないという方も向いているといえます。狭い機内に多くの人が搭乗していますので、短距離路線であれば、気にしないという人もいるのではないでしょうか。
荷物が少ない方も、LCCがお勧めといえます。預入荷物が多い(重い)ほど、追加料金が重くのしかかります。荷物がなければ、その分チケット代が安くなります。
LCCは遅延の可能性が高くなりやすい仕組みで運航していることから、時間がたくさんあるような長期休暇などで利用するのがおすすめです。
LCCをお勧めできない人
LCCをお勧めできない人、つまり、FSCをお勧めする人です。FSCのメリットは、定時運航の可能性が高く、時間帯にかかわらず満遍なく便があるということです。ビジネスの出張など、必ずその時間には到着したいというときは、FSCの利用をしたほうが良いと思います。
LCCは欠航の場合、振替ハードルが高かったり、補償があまりありませんが、FSCであれば、次の便に振替できる可能性が高くなるという点で、メリットがあります。
LCCは、マイレージサービスがないもしくは、充実していないということもあるため、ANAやJALなどの特定のマイルをためている方は向いていないです。
まとめ
以上がLCCとFSCの違いをご紹介しました。LCCは多くのサービスが有料となっているのに対して、FSCは通常のチケット代金にサービスの多くが含まれています。
LCCはセールやキャンペーンを利用すると考えられないくらいの値段で航空券をゲットできることもありあます。激安のチケットを狙ってみるのもいいかもしれません。
FSCのセールでは、LCCの通常の値段に限りなく近づく、もしくはそれよりも安くなるということはあります。購入のタイミングや、乗りたい便によってFSCとLCCを使い分けるもの良いのかもしれません。
ただし、いろいろと有料でプランを追加するにつ入れて、FSCと同じような値段になっていしまうなんてこともあります。チケットを購入する前にはよく比較した方がよさそうです。